イエスの愛

イエス・キリストの愛についての日記

豚と多神教

                             ヨハネ・ヤジロー

 

 豚は多神教を暗示します。ローマ皇帝アウグストゥスが「余はヘロデの息子であるより豚であった方がましだ」という言葉はイエス様が生まれる少し前にヘロデ王が妻のマリア妃(ミリアム王女)を殺しただけではなく、彼女との間にできた息子たちも殺したことに由来します。ヘロデ王ユダヤ教徒ですので豚は食べません。つまり、豚を殺さない。同じ一神教イスラム教もそうですが。このヘロデ王ユダヤ人の王として生まれた幼子イエスの命を狙ってベツレヘム周辺の幼児を皆殺しにした、とマタイは福音書で語っています。当時のパレスチナローマ帝国支配下にあります。ユダヤ人から見れば異邦人、そのような多民族が多い異邦人地区では豚が飼われていました。豚は人の排せつ物を食べたりしますので、伝染病に感染しやすい。つまり、悪霊の巣になりやすいこともあり、ユダヤ人から忌み嫌われていました。また、そのような地区のユダヤ人は暴行や虐殺も受けやすい。

 そのような事実を生々しく福音書は描きません。醜悪な歴史的事実をファンタスティックに描きます。たとえば、マタイによる福音書8章28~34節です。

「 それから、イエスが(ガリラヤ湖)対岸にあるガダラ人地区に着かれた。すると、悪霊に憑(つ)かれた二人が墓から出てきておりイエスに出会った。二人は凶暴で誰もそこらの道を通れないほどであった。すると彼らはわめいた。こう言う。

「何の用で、神の子よ、ここに来られた!?まだ早いよ、我らを拷問にかけるのは。」

そのとき、彼らから離れたところに飼われている豚の群れがいた。それで、悪霊どもはイエスにお願いした。こう言う。

「もし、我らを追い出すのなら、あの豚の群れの中に追い出してください。」

するとイエスは彼らに言われた。

「帰りなさい。」

それで、彼らは出ていき、豚の中に入って行った。すると見よ、豚の群れが崖(がけ)から下って湖の中に突進した。そして、水の中で死んだ。それで、豚飼いたちは逃げた。町に行き、一部始終を悪霊に憑かれた者たちのことも含めて語り伝えた。すると見よ、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスを見ると、この地区から立ち去るようにお願いをした。」